札証では、重複上場銘柄の定率会費を市場利用者にとって最も有利になるよう設定しております。
●定率会費は、証券会社が市場を利用した場合、株式の売買代金に比例して取引所に支払う会費のことです
●定率会費の設定や手数料が自由化されている制度のなかで、札証利用者それぞれのコスト節減につながることが考えられます。
●また、大株主から売却の意向が確認されている自己株式取得等の場合には、札証で取得を行うことにより確実に執行できる可能性が高くなる場合が考えられます。
札証で自己株式を取得する場合
以上、4つの方法があります。
平成13年10月1日の改正商法の施行により、自己株式の取得及び保有に関する規制が緩和され、いわゆる金庫株が解禁されました。これに伴い、自己株式を取得しようとする企業が増加しております。
商法では自己株式の取得方法として「市場買付け」と「公開買付け」の2方法が規定されております。
「市場買付け」による方法は、相場操縦行為を防止するため、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」(以下 「取引規制府令」という)を遵守する必要があります。
また、「公開買付け」による方法の場合は、その手続き等が金融商品取引法等で厳格に定められていることから、機動性・柔軟性に欠ける面があります。
このような状況を踏まえ本所では、本所市場のメリットを生かしながら、取得会社にとって利用しやすく、かつ、取引規制府令第23条に規定する「金融商品取引所が適当と認める方法」として、「市場買付け」に係る2方法の概略を次項のとおり取りまとめましたのでご案内いたします。
なお、詳細は「札証市場を利用した事前公表型の自己株式の取得方法について」を参照ください。
1.事前公表型のオークション市場における買付け
(1) 特徴
事前公表型のオークション市場における買付けとは、持合い解消等特定の株主から売却が予定されている場合等に、買付け日の前日に予め具体的な買付け内容を公表した上で、通常の立会取引時間内の市場において、一般投資家の注文とともに、株主の売付け注文と買付け会社の買付け注文を執行するものです。
事前公表(買付け内容)を行うのは、予め自己株式の取得情報を入手している売方に生じるインサイダー取引規制の懸念を回避するためです。
本方法は、予め特定の株主から売却の意向が確認されている自己株式取得に利用する場合には、定率会費が市場利用者とって最も有利になるよう設定されているため、重複上場会社にとっても有効な手段といえます。
(2) インサイダー取引規制に関する留意事項
買付けに際しては、自己株式取得に関する重要事実及び会社に関する重要事実との関係に留意することが必要です。また、これらの情報に対する社内管理体制の整備を図ることも必要です。
特定の大株主に売却の打診をすることにより生じる売方のインサイダー取引規制の問題については、買付け日前日に具体的買付け内容(買付け予定日時、買付け予定数量、買付け価格、買付け予定市場等)をTDnet登録することが必要です。
(3) 相場操縦規制に関する留意事項
事前公表が一般投資者に対して誤解や相場に影響を与えることのないよう、買付け内容は出来るだけ具体的に開示することが必要です。買付け価格は、取引規制府令第23条により、前日の終値を上回らない指値によることが必要なため相場動向には十分な配慮が必要です。
また、市場動向によって買付できない場合も想定されるのでその旨を付記することも必要です。
さらに、金融商品取引法上では義務化されていませんが、買付け内容を事前公表したことによる不確定要素を早期に解決するため、買付け後の結果をTDnet登録することは有効な手段と考えられます。
2.事前公表型の立会外取引(終値取引)による買付け
(1) 特徴
事前公表型の立会外取引(終値取引)による買付けとは、基本的仕組みは上記1.の事前公表型オークション市場における買付けと同じですが、立会時間外に前日終値により一般の投資家の注文とともに、株主の売付け注文と買付け会社の買付け注文を執行するものです。
この方法は、取引規制府令第23条の買付価格の要件を満たすため、買付け日の午前8時30分から8時50分の間に取引することが必要です。
本方法は、前述の1.事前公表型のオークション市場における買付けと同様、重複上場会社にとっても有効な手段です。
なお、買付け当日に予定数量に達しなかった場合、取引規制府令第23条により他の方法での買付けが可能ですが、この実行に当っては同府令第17条の数量規制等が適用されることになるため、注意が必要です。
(2) インサイダー取引規制に関する留意事項
買付けにあたっての自己株式取得に関する重要事項及び会社に関する重要事項との関係並びに社内の情報管理体制に関する留意事項は、基本的には上記1.と同様な対応が必要です。
(3) 相場操縦規制に関する留意事項
事前公表内容が一般投資者に誤解等を与えないよう配慮が必要なことは上記1.の対応と同様です。
通常の立会外取引(終値取引)では、優先的に対当させるクロス取引が使われることがありますが、自己株式取得では取引規制府令第23条の株主間の公平性を確保するためクロス発注は出来ないことに特に注意が必要です。
3.その他
本所市場を利用した取引規制府令第23条の「金融商品取引所が適当と認める方法」は、上記1.及び2.のとおりですが、これ以外に「オークション市場における単純買付け」により行うことが出来ます。
この方法は、その時々の株価水準や市場動向を見ながら機動的に買付けを行うことが出来ますが、この場合取引規制府令第17条の適用を受けるとともに、社内情報管理とインサイダー取引規制及び株価操縦規制との関係について十分留意することが必要です。
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